
✅ 1. e は「最初からあった」わけではない
古代の数学にはまだ e は出てきません。
- 古代ギリシャは「比」や「図形」を重視 → e という概念は登場しない
- 中世までは「数」といえば整数や有理数が中心
- 対数(log)がまず発明される(17世紀)
✅ 2. 17世紀:連続複利と対数の発展で「e が現れる」
ヨーロッパで金融計算や天文学が進んだとき、
次の疑問が出てきます:
「複利回数を増やしていくと、最終金額はどうなるのか?」
計算していくと極限
\lim_{n\to\infty}\left(1+\frac{1}{n}\right)^n
が現れる。
この値がだいたい 2.71828… になるとわかり、数学者たちが注目し始めます。
→ この段階ではまだ「e」という記号はない
→ 「不思議な定数が出てくる」と認識された段階。
✅ 3. 解析学の確立で「e を定義」
その後、微積分(ニュートン、ライプニッツ)が発展し、
- f’(x)=f(x) の解を求めるとき
- 1/x の積分(対数)をきれいに表すとき
どちらにもこの数が自然に出てくる。
→ ここで「じゃあこの数を基準にしよう」と決めて「e」と名付けた。
✅ 4. つまり「発見」でもあり「発明」でもある
- 複利計算や極限の計算で “発見” された
- 解析学の中で「標準の底」として “採用(発明)” された
e は、数学の構造の中で自然に現れる「定数」であり、
人間が選んで「自然対数の底」と名付けた。
✅ 5. 近代数学での立場
現代では、e を何らかの方法で定義するのが当たり前。
例:
- 級数定義:\displaystyle e=\sum_{n=0}^\infty \frac{1}{n!}
- 極限定義:\displaystyle e=\lim_{n\to\infty}(1+\frac{1}{n})^n
- 微分方程式定義:f’(x)=f(x), f(0)=1
どの定義を使っても同じ数になる(だから特別)。
✅ 一文まとめ
e は自然界の数理構造から「発見」された定数であり、
解析学の中で「指数・対数の標準」として「発明」された記号。
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